生活保護制度は、経済的に困窮している人に対して最低限の生活を保障するための公的支援制度です。
しかし、この制度を利用するにはいくつかのデメリットがあります。
受給資格を得るためには、厳しい条件が設けられており、申請プロセスも複雑で時間がかかることがあります。
また、受給者はプライバシーの侵害や社会的な偏見に直面する可能性があります。
さらに、長期にわたって生活保護を受けることは、自立への意欲を低下させることが懸念されています。
この記事では、生活保護の受給に関するデメリットとその条件、申し込みプロセスについて解説していきます。
現在、生活保護を検討している人々が、制度の利用を決定する前に知っておく有益なポイントを紹介していきます。
生活保護のデメリット
生活保護のデメリットは以下のようなものがあります。
- 家や自動車を持てない
- 好きな場所に住めない
- ローンを組めない
- 定期的にケースワーカーとの面談が必要
それぞれのデメリットについて具体的にどのような支障があるか1つずつ解説していきます。
家や自動車を持てない
生活保護を受けることには、いくつかのデメリットがあります。特に「家や自動車を持てない」という点は重要です。
生活保護を受けるためには、ある程度の資産基準を満たす必要があり、持ち家や自動車などの資産がある場合は、それらを手放すことが求められることがあります。
これは、生活保護受給者が最低限の生活を送るための支援を目的としているためです。
しかし、これにより、受給者は自己所有の家や自動車を持つことができなくなり、生活の質や自立への意欲に影響を与える可能性があります。
また、将来的に経済状況が改善したとしても、資産を再び築くことは困難になります。
このように、生活保護制度は短期的ば安全網として機能する一方で、長期的な自立への障壁となることもあるのです。
この点を理解したうえで、生活保護申請を検討する際には慎重に判断することが重要です。
好きな場所に住めない
生活保護を受ける際のデメリットの1つに、「好きな場所に住めない」という問題があります。
生活保護受給者は住宅扶助を利用することが多いのですが、この扶助には家賃の上限が設定されており、その範囲内でしか住居を選ぶことができないのです。
これにより、都心部や希望する地域に住むことが難しくなることがあります。
また、生活保護受給者は不動産仲介業者や大家からの偏見により、住居を探す際に断られることも少なくないです。
さらに、持ち家がある場合は、原則として売却しなければならず、これが受給条件の一部となっています。
このような制約は、受給者の居住の自由を大きく制限し、生活の質に影響を与える可能性があります。
生活保護は最低限の生活を支えるための制度ですが、住居に関するこれらの制約は、受給者が社会的、経済的に自立するための障壁となることもあるのです。
ローンを組めない
生活保護を受けることのデメリットに「ローンを組めない」というのがあります。
このデメリットは、将来的な資金計画に大きな影響を与える可能性があります。
生活保護受給者は、通常の金融機関からのローンやクレジットカードの新規契約が困難になります。これは、生活保護費を借金返済に充てることが禁止されているためです。
また、既存の借金がある場合でも、生活保護費での返済は許されていないです。
このような制約は、受給者の経済的な自立を目指す上での障壁となります。
生活保護は、あくまで最低限の生活を支えるための制度であり、贅沢品の購入や余剰資金の貯蓄には使用できないことを理解することが重要です。
家族や親戚にバレる
生活保護を受けると「家族や親族に知られてしまう」という問題があります。
生活保護の申請過程では、扶養義務者である家族に対して援助の可否を確認するための照会が行われることがあり、プライバシーの侵害や家族間に影響を与える恐れがあります。
これにより、申請者の状況や家族や親戚に知られる可能性があり、プライバシーの侵害や家族間の関係にまで影響を与える恐れもあるのです。
特に、経済的な援助が期待できない、または家族関係が複雑な場合、この紹介は申請者にとって大きな心理的負担となることがあります。
ただし、DVや虐待などの特定の事情がある場合は、扶養照会を拒否することも可能です。
生活保護は困窮者の生活を支えるための制度ですが、このようなデメリットを理解した上で、申請を検討する必要があります。
定期的にケースワーカーとの面談が必要
生活保護を受ける際のデメリットに、「定期的にケースワーカーとの面談が必要」という点が挙げられます。
この面談は、受給者の生活上京や自立に向けた進捗を」確認するために行われます。
面談の頻度はケースによって異なりますが、一般的には年に数回から月1回程度が目安です。
面談では、受給者の生活状況や健康状態、就労の可能性などが詳細に話し合われ、必要に応じて生活改善のアドバイスや就労支援が提供されます。
しかし、これらの面談は受給者にとって時間的な負担やプライバシーの問題を感じさせることもあり、自立へのプレッシャーとなることもあるので、デメリットと捉えられることもあります。
生活保護は最低限の生活を支える制度であり、面談はその一環として重要な役割を果たしていますが、受給者の立場に立った配慮がもとめられる場合でもあります。
生活保護を受けていてもできること
生活保護を受けている人でも、一定の条件下で働くことは可能です。
収入が最低生活費以下であれば、仕事をしながら生活保護を受給することができます。
また、社会保険に加入することも可能で、健康保険や厚生年金保険に加入している場合は、そのまま継続することができます。ただし、国民健康保険や後期高齢者医療制度には加入はできないです。
生活保護受給中に働くことで、収入認定額から必要経費や各種控除を差し引くことができ、結果的に使えるお金が増えることもあります。
生活保護を受けていてもできることは以下のようなことがあります。
- 旅行やレジャー
- お酒やたばこ
- ペットの飼育
それぞれの項目を解説していきます。
旅行やレジャー
生活保護受給者でも、必要経費を節約しながら、旅行やレジャーを楽しむことは可能です。ただし、事前の届出が必要であり、受給額に影響する場合があるため、注意が必要です。贅沢な旅行は避け、公的支援の範囲内で計画することが求められます。
お酒やタバコ
生活保護を受けている人でも、お酒やタバコを購入することは可能です。ただし、支給される生活保護費は最低限の生活を送るためのものであり、支給基準内での自由に使える金額である必要があります。
生活保護受給者がお酒やタバコにお金を使うことは、社会的な非難の対象になることがあるため、注意が必要です。
ペットの飼育
生活保護受給者でもペットを飼育することが可能です。
ただし、ペットにかかる費用は自己負担となり、生活保護の給付金から支出することは認められていないです。
ペットを飼うことで生活が困窮しないよう、責任を持って管理する必要があります。
生活保護を受けられる条件
生活保護を受けられる条件として4つの項目を満たす必要があります。
その条件はこのような項目です。
- 家や車を持っていない
- 病気などで働けない
- 家族や親族から支援を受けられない
これらの項目の条件をすべて満たす人だけが、生活保護を申し込みができます。
今「お金がないから」というだけでは、生活保護を受給できないです。
最低限の生活や資産や能力のある場合は、生活保護の対象外になります。
それではこれらの条件を詳しく解説していきます。
最低生活費よりも収入が低ければOK
生活保護を受けるためには、世帯の収入が最低生活費を下回る必要があります。
最低生活費は、日本国憲法第25条で保障される「健康で文化的な最低限の生活」を送るために必要な費用として、厚生労働省が毎年算定しています。
例えば東京都内で1人暮らしをしている場合、最低生活費は13万円と指定されています。
申請者の世帯月収が13万円以下であれば、生活保護の申請が可能です。
最低生活費は住んでいる場所や世帯内の人数によって変動します。
生活保護の申請条件を満たしているか不安な方は、よく確認が必要です。
家や車を持っていない
生活保護を受ける際には、自動車の所有だけでなく、運転も原則として認められていないです。たとえ通院や通勤のために必要とされていても、使用できるのはその認められた目的のみです。単に買い物や家族での外出に使うことは反則となります。
それには、理由があります。生活保護を受けている方は経済的に困難な状況にあります。したがって、万が一交通事故を起こした場合、賠償する能力がないためです。
自動車保険に入っていても、交通違反をして保険が適応されない場合があります。
また、生活に困窮しているにもかかわらず、自動車保険料や車検費用、メンテナンス費用を支払うことは難しいです。
他人名義の車を運転することも同様に問題です。これは自動車の資産を隠すために名義貸しをしているのと同じです。生活保護を受ける際には、これらの制約を理解し、遵守する必要があります。
また、住む場所についても制限があります。生活保護を受ける場合、家賃の上限額を超える物件に入居している場合、転居指導の対象となります。基準額以下のアパートや公営住宅への転居が必要です。持ち家の場合は、資産価値に応じて売却やリバースモーゲージの活用を指示されることもあります。
どうしても住み慣れた場所から引っ越したくない場合は、生活保護を受けることを諦めることを検討する必要があります。
病気などで働けない
生活保護は、収入が少ない人だけでなく、病気やケガなどの理由で働けない人も申請できます。ただし、病気やケガで働けない人が生活保護を申請するには、まずは別の制度を利用する必要があります。
具体的には、傷病手当金や失業手当金、老齢年金、障害年金、遺族年金などが利用できます。
ただし、生活保護は最低生活費を手に入れるための最終手段であり、他の制度で最低生活費を確保できる場合は、生活保護による支援は受けられないです。
もし他の制度を利用しても最低生活費が確保できない場合は、生活保護の申請を検討する必要があります。
家族や親戚から支援を受けられない
生活保護は、家族などの身内から支援を受けられない方に対して、国や自治体が最低限の生活を保障する制度です。
しかし、親族から経済支援を受けられる場合や、自分の収入が最低生活費に満たしている場合は、生活保護の対象にはなれないです。
最低生活費とは、食費や住居費など、必要最低限の生活にかかる費用のことです。この金額は、地域や世帯構成によって異なります。自分の収入が最低生活費に満たしているかどうかは、市区町村の窓口で相談したり、インターネットなどで検索したりして確認ができます。
もし、親族から十分な支援を受けられない場合や、自分の収入が最低生活費に満たない場合は、生活保護を申請することができます。
生活保護を申請するには、市区町村の窓口で必要書類を提出し、審査を受ける必要があります。審査では、収入や財産などの状況が確認されます。
審査の結果によっては、生活保護を受けられない場合もあります。
生活保護は最後の手段として利用する制度です。自分でできるだけ努力して、自立した生活を目指す努力が必要です。
生活保護を受けるまでの流れ
生活保護とは、国や自治体が貧困に陥った人々に必要最低限の生活を保障する制度です。生活保護を受けるには、一定の条件を満たす必要があります。
例えば、収入が生活保護基準以下であることや、貯金や資産がないことなどです。
生活保護を受けるまでの流れは、大きく分けて次のようになります。
- 福祉事務所で生活保護を受けたいと伝える
- 調査が行われる
- 結果の通知・受給開始
生活保護は、自立を目指すための一時的な援助であることを忘れずに、必要な手続きや相談を行います。
各流れを詳しく解説していきます。
福祉事務所で生活保護を受けたいと伝える
生活保護を受けるまでの流れは、まずは福祉事務所に相談に行くことから始まります。
福祉事務所で生活保護を受けたいと伝えると、担当者が必要な書類や手続きを説明してくれます。
生活保護を受けるためには、収入や財産、家族構成などの状況を証明する必要があります。
そのため、身分証明書や預金通帳、家賃の領収書などの書類を用意する必要があります。また、医師の診断書や障害者手帳などの場合もあります。
福祉事務所で書類を提出したら、担当者が生活保護の審査を行います。
調査が行われる
所定の書類を添付して提出後、市区町村の担当者が自宅や勤務先などに調査に来ます。
調査では、収入や財産、家族構成、生活状況などを詳しく聞かれます。調査の結果によって、生活保護の支給決定が下されます。
調査は厳しく行われるので、虚偽の申告は絶対してはいけないです。
結果の通知・受給開始
福祉事務所では、生活保護の申請書や必要な書類を渡されます。書類を提出すると、福祉事務所の職員が家庭訪問を行い、収入や財産、生活状況などを調査します。
調査の結果によって生活保護の対象になるかどうかが判断されます。結果は約1か月以内に通知されます。生活保護の対象となった場合は、受給開始日から生活費や医療費などが支給されます。
生活保護は自立するための一時的な援助であることを忘れずに、就労や教育などの支援も積極的に利用することが必要です。
生活保護以外に生活を楽にする方法
生活保護以外にも生活を楽にする方法とは 何でしょうか?
生活保護は国や自治体から最低限の生活費を受け取る制度ですが、受給するには一定の基準を満たさなければなりません。
また、受給していると社会的な偏見や差別にも直面する可能性があります。そこで、生活保護に頼らずに生活を楽にする方法を紹介します。
これらの方法は誰でも簡単に実践できるものです。例えば、節約術や副業、資産運用などです。
これらの方法を取り入れることで、収入を増やしたり、支出を減らしたりすることができます。
生活保護以外に生活を楽にする方法について、詳しく紹介していきます。
仕事を見つけるなら職安
生活保護受給者だけでなく、低所得や非正規雇用者などの困窮者にも、様々な支援制度が用意されています。例えば、児童手当や住宅補助金、医療費助成などです。
これらの支援制度を利用すれば、生活保護よりも柔軟に生活を改善することができるかもしれないです。
しかし、支援制度だけでは根本的な解決にならないです。最終的には、自分で収入を得ることが必要になります。そのためには、仕事を見つけることが重要です。
仕事を見つけるには、どこに相談すればいいのでしょうか?答えは職安です。職安とは、公共職業安定所の略称で、求職者と求人者をマッチングさせるサービスを提供しています。
職安では、無料で職業相談や職業紹介を受けることができます。また、職業訓練や就職支援金などの制度もあります。
職安を利用すれば自分に合った仕事を見つけることができるかもしれないです。
債務整理のことはまず弁護士に相談
生活保護以外に生活を楽にするほうほうで仕事探しの他にも方法がもう一つあります。
その1つが債務整理です。
債務整理とは、借金を減らしたり、返済計画を立てたりすることで、借金問題を解決する方法です。
債務整理には、自己破産や任意整理などの種類がありますが、どれも専門的な知識が必要になります。
そのため、債務整理のことはまず弁護士に相談することが大切です。弁護士に相談すれば、自分に最適な債務整理の方法を教えてくれますし、手続きも代行してくれます。
このように、生活保護だけでなく、債務整理も生活を楽にする1つの方法です。
よくある質問
では、ここでよくある質問を見てみます。
生活保護に関する疑問や不安を持つ方は多いと思います。そこで、この記事では、生活保護に関するよくある回答をまとめました。
これから、生活保護を受けようと考えている方や、すでに受給している方も参考にしてください。
Q1 生活保護の申請をしてから、受給できるかどうか分かるまで何日くらいかかりますか?
A1 生活状況の調査や資産調査(預貯金、生命保険等)を行った上で申請日から原則14日以 内(調査に日時を要する特別な理由がある場合は最長30日)に生活保護が受給できるかどうかの 回答をします。なお、生活保護の申請をしてから生活保護が開始されるまでの当座の生活費がない場合、社会福祉協議会が行う「臨時特例つなぎ資金貸付」をご利用いただける場合もございます。
Q2 生活保護制度ではどのような給付が受けられますか?
A 2 生活保護制度では、以下のように生活を営む上で必要となる各種費用に対して扶助が支給 されます。
扶助の種類 支給内容 日常生活に必要な費用 (食費・被服費・光熱水費等) 生活扶助 基準額は、
①食費等の個人的費用(年齢別に算定)
②光熱水費等の世帯共通的費用(世帯 員別に算定) 特定の世帯には加算がつきます。 アパート等の家賃等 住宅扶助 定められた範囲内で実費を支給 義務教育に必要な学用品費 教育扶助 定められた基準額を支給 医療サービスの費用 医療扶助 費用は直接医療機関へ支払 介護サービスの費用 介護扶助 費用は直接介護事業者へ支払 出産費用 出産扶助 定められた範囲内で実費を支給 就労に必要な技能の習得等にかかる費用 生業扶助 定められた範囲内で実費を支給 葬祭費用 葬祭扶助 定められた範囲内で実費を支給
Q3 具体的にはどのくらい保護費が支給されますか?
A3 収入と厚生労働大臣が定める基準(最低生活費)を比較して、収入が最低生活費に満たな い場合に最低生活費から収入を差し引いた差額が保護費として支給されます。 支給される保護費のイメージ 最低生活費 年金、児童手当、給与等の収入 支給される保護費 生活扶助基準額の例(平成26年4月1日現在) 浦添市 3人世帯(39歳、39歳、9歳) 15万8090円 単身高齢者世帯(71歳) 6万3290円 夫婦高齢者世帯(80歳、78歳) 9万3620円 母子世帯(42歳、13歳、9歳) 17万5000円 ※児童養育加算等含む
Q4 生活保護の受給中、守らなければならないことはありますか?
A 4 生活保護を受給する方は次のような義務と権利があります。
<義務>
・利用しうる資産・能力その他あらゆるものを生活のために活用しなければなりません。 ・能力に応じて勤労に励み、健康の保持及び増進に努め、収支、支出その他生計の状況を適 切 に把握するとともに、支出の節約を図り、その他生活の維持
・向上に努めなければなりません。
・福祉事務所から生活の維持・向上その他保護の目的達成に必要な指導又は指示を受けたと き はこれに従わなければなりません。
<権利> ・生活保護の要件を満たす限り、誰でも無差別平等に受けることができます。
・正当な理由がなければ、既に決定された保護を不利益に変更することはありません。 ・ 保護費については、租税その他の公課を課せられることはありません。
・既に給付を受けた保護費又は保護費を受ける権利を差し押さえられることはありません。
Q5 自動車を持っていても生活保護を受給できますか?
A5 自動車は資産となりますので原則として処分していただき、生活の維持のために活用してい ただくことになります。ただし障害をお持ちの方の通勤、通院等に必要な場合には保有が認めら れる場合があります。詳しくは福祉事務所までお問い合わせください。
Q6 働いていても生活保護を受給できますか?
A6 働いていて就労収入がある方でも、その収入及び資産が厚生労働省の定める基準(最低生活費)に満たない場合には生活保護を受給することができます。この場合、収入と最低生活費を 比較して最低生活費から収入を差し引いた差額が保護費として支給されます。
引用元:生活保護制度に関する Q&A
生活保護制度に関する Q&A – NET
https://prdurbanosursapp1.blob.core.windows.net › …
まとめ
生活保護は、生活に困窮した人に国や自治体が必要最低限の生活費や医療費などを支給する制度ですと説明してきました。
しかし、生活保護を受けることには、様々なデメリットがあります。
例えば、受給の条件が厳しく、申し込みが煩雑であることや、受給者のプライバシーが侵害されることや、社会的な偏見や差別に直面することなどです。
この記事では、生活保護の8つのデメリットについて詳しく解説しました。
最後に、生活保護を受けるかどうかを決める際には、十分考慮することをおすすめします。
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